終了報告

本研究会は盛況のうちに終了しました。 たくさんの皆様のご参加いただき、充実した議論を行うことができました。
ありがとうございました。

趣旨

近年、様々な学術分野や社会において、大量・大規模なデータが集積するビッグデータ時代が到来しています。 多種多様なデータを利用し、その中に埋もれる構造や関連を抽出することで、 従来は考えられなかった科学的発見、予測・知識獲得あるいは価値創造が実現できるようになりつつあります。 得られたデータを出発点してボトムアップ的に進めるデータ駆動科学は、「第4のパラダイム」とも言われています。

そのような背景もあり、統計学や機械学習などのデータ科学分野の技術が現在目覚ましく発展しています。 天文学や生物科学など、第一原理モデルが適用できない領域・多階層や超多数の要素からなる複雑なシステムを対象とする領域において、その活用が広がりつつあります。

プラズマ物理研究でも、近年は多様な計測データ・シミュレーションデータが得られています。 少量・低次元のデータを扱ううちは、研究者がデータの傾向を見つけることができますが、 データ量・データの次元が増えるに従って、その中に埋もれた構造や関連を直感的に理解することが難しくなってきます。
しかし現状では、プラズマ物理研究データの解析にデータ科学的手法はほとんど導入されていません。
データ科学技術をプラズマ物理研究に導入し、 データからの情報抽出をアシストすることで、さらなる科学的発見を創出することが本ワークショップの目標です。

具体的には、
・ 実験・シミュレーションで得られる膨大なデータからの特徴・傾向の抽出法の開発
・ トモグラフィなど、逆問題・不良設定問題に対する統計的手法を用いた高精度な推定法の開発
・ 第一原理的に表せない物理現象のモデル化
・ 機械学習手法を用いた、計測・シミュレーションの高度化
などを目指します。

招待講演者として、統計学の専門家や、他の科学分野にデータ科学技術を応用されている研究者を招いています。 チュートリアル的な講演から、実データへの応用に至る内容をご紹介いただく予定です。 核融合分野で用いられているデータ解析手法や、現在の課題についても情報共有しつつ、「データ解析」というツール・手法を軸にしたネットワークを分野内外に広く作っていくことも目標の1つです。